2016年4月12日火曜日

生理痛について【第12回】

院長の川端です。皆さんは、生理痛に悩んでいませんか?ある統計では、女性の半数が月経痛があり、そのうちの約半数が鎮痛剤などを服用しないと日常生活に支障があると答えています。生理痛は、生理のある女性にとって、とても悩ましい問題ですが、その原因は一体なんでしょう。

子宮や卵巣の異常がない場合

生理痛には、原因となる子宮や卵巣の異常がある場合と、そうでないときがあります。通常多くの場合、子宮や卵巣に異常のない生理痛が多いものです。このような生理痛を婦人科では、機能性月経困難症といいます。機能性月経困難症は一体なぜ起こるのでしょう。月経血が出るとき、子宮筋が収縮して、子宮の中に溜まった子宮内膜や月経血を押し出すことになりますがこの子宮収縮をおこすプロスタグラジンなどの物質が痛みを引き起こす原因となります。子宮筋が収縮すると痛くなるというのは、お産の時の陣痛と同じ現象です。従って、お産の時、陣痛が始まったかどうかを確認するとき、生理痛のような痛みがありますかと質問されることがあります。ということは、ひどい月経痛の人の中には陣痛の痛みのような強い痛みを感じる人もいるわけです。学校や仕事を休んでしまわないといけない、寝込んでしまう人もいるわけです。初めて月経がはじまった当初(初潮期)は、無排卵周期であることが多く、一般的には生理痛はないことが多いものですが、大体23年で痛みが出てきます。初日から2日目の量の多いときぐらいがひどいことが多いです。思春期の若い人では子宮もまだ大きくなく、このような痛みが起こりやすいものです。学校生活に支障が出る場合もあります。
治療としては、まず痛みどめです。痛みどめは、プロスタグラジンなどが作られるのを抑える薬です。従って、月経血が出ていくときに過度な子宮の収縮を抑える効果があります。飲み方としては、大体痛みがいつおこるかわかっている場合、私は早めに内服するほうが良いとお話しています。皆さんはがまんしてどうしても痛いときに内服している人はいませんか?早めに内服するほうが、効果があります。13回から4回 1か月2日程度までであれば、鎮痛剤はそれほど心配いらないものです。鎮痛剤はさらに過度の子宮収縮を抑えるため、あとで述べる子宮内膜症の予防にもつながります。つまり、痛みは我慢するより、治療したほうが良いことになります。また、腰をあたためるのも効果があります。時々おなかを温める人もいますが、私は腰のほうが効果があると思っています。
また、若い人なら、アロマセラピーも効果があります某大学の婦人科学医をしていた時、月経痛で保健センターに来る人には痛みどめとともにアロマオイルを使用することによって痛みどめの効果がよくなり、休んだ後も、すっきりして帰られるようになりました。オイルの種類としては、若い人、特に10代の方は柑橘系レモンやグレープフルーツ、オレンジなどが効果があるようです。コットンやハンカチに数滴たらしてもらって、鼻にあてると、鼻粘膜から吸収されて、鎮痛剤との相乗効果で痛みが改善されます。また、20代からはクラリセージやラベンダーなどのエッセンスオイルが効果大です。
また、保険のきく治療として漢方薬があります鎮痛剤の代わりになることもあり、一度婦人科で相談してみてください。もちろん当院でもご相談可能です。若いときだけでなく、時には出産後月経痛がひどくなったといわれる方がいらっしゃいます。子宮や卵巣に異常がなくても、出産後、以前より子宮が大きくなり、月経量が増えるとかえって痛みが強くなることがあります。婦人科診察で何も異常がない場合、同じように鎮痛剤が第1次選択薬ですが、漢方薬が効果的な時があります。
また、避妊とかねて低用量ピルの使用もいいかもしれません(ブログ第8回参照)。

子宮や卵巣の異常がある場合

一方生理痛が起こる原因が、子宮や卵巣の疾患による場合がありますこのような場合を器質性月経困難症といいます子宮内膜症が代表的ですが、それ以外に子宮筋腫があって、月経量が多いときや、子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫があって、月経血がスムーズに出ていかないときに痛むことがあります。また珍しいものでは、子宮奇形があったりすることもあります。これらは、婦人科を受診して、その疾患に関する治療が必要です。単なる生理痛だろうと自己判断せず、婦人科を受診しましょう。

次回は、器質性月経困難症の中でも代表的な子宮内膜症のお話をします。

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