2019年10月6日日曜日

ブライダル・チェックからプレコンセプション・ビジットへ 

はじめに

妊娠前に、"産婦人科を受診する"ということは、どういうことでしょう
以前は、ブライダル・チェックといって、主に性病のチェックが主でした。
つまり、妊娠する前に性病の有無などを調べておきましょうというものです。

現在、結婚の形態も変わり、さらに妊娠年齢も高くなってきた最近は、プレコンセプション・ビジットという考え方が広まり始めています。プレコンセプション・ビジットとは、「妊娠前の(Preconception)」+「産婦人科への受診(visit)」。つまり妊娠前に産婦人科を受診し、自分の体を全体的にチェックしましょうというものです。これには、妊娠前からの体づくりも含まれます。
(もちろん、プレコンセプション・ビジットには、旧来のブライダル・チェックで確認していた性病の有無も含まれます。)

以下では、「基本の4点チェック」、「必要に応じたチェック」と「妊娠前からの体づくり」に分けてご説明します。

基本の4点チェック

妊娠する前に、まず、チェックすべきことは、以下の4点です。
1 子宮や卵巣の状態を超音波でチェック
  子宮筋腫や卵巣の腫瘍はないか、また、子宮の形が正常か、子宮内膜症は
  ないかを、チェックしてもらいましょう。また、30代の方は乳がん検査も
  受けてみましょう。
2 月経に関するチェック
  月経周期がきちんとあるか、排卵がちゃんとしているかを、産婦人科医に確認してもらいましょう。月経周期を聞かれるときは、まず最終月経は、一番最近の月経がはじまった日を指します。月経周期は、前の月経がはじまった日から次の月経がはじまった日までの日数を指します。月経期間や月経量、月経痛などの随伴症状について、相談しましょう。
3 大切な性病チェック 
  妊娠の妨げになったり流産の原因にもなりうるクラミジアや淋菌の子宮頸管炎について調べてもらいます。これらの疾患は、おりものが、増加したり、色やにおいが変化することもありますが、無症状の場合もあります。
4 子宮頸がん検査
  妊娠初期にも検査項目として入っているものですが、妊娠前に検査しておくことで、早期発見できるものです。最近では、子宮頸がんをおこす13種類のヒトパピローマウイルスを検査できるようになっています。諸外国の中では、30歳以降の方はこの検査を子宮頸がん検診として行っているところもあります。但し、現在は子宮頸がんで再検査となった方にしか、保険適応はありませんので注意しましょう。

以上の4点は、妊娠する前に調べておくべき基本の検査です。
以下では、必要に応じたチェックについてご説明します。

必要に応じたチェック

1 全身状態のチェック

全身状態のチェックについてお話します。普段会社などで、検診を受けられておられ
ますか。会社の検診で、異常なければ問題はありませんが、何か引っかかって
いるものがあれば、検査結果を持参して相談しましょう。また、検診をうける
機会のない方は、身長体重、肝機能、腎機能、糖尿病などのチェックが必要です。
また妊娠に関して言えば、月経不順であれば、婦人科ホルモン検査、また、流産
の既往がある方は、甲状腺やリン脂質抗体も測定しておいたほうが良い場合が
あります。ビジットの際相談しましょう。
また特殊な検査として、抗リン脂質抗体症候群のチェックがあります。抗リン脂、
質陽性の方は、流早産や胎児子宮内胎児死亡や発育不全の原因となります。

2 抗体検査

採血でわかる細菌やウイルスなどの抗体検査についてお話します。
まず梅毒やトキソプラズマですが、この項目は妊娠初期の必要な検査に含まれ
ています。その時で、問題ないと思います。
一方で、妊娠中罹患すると、問題があり、さらにワクチンで事前に感染予防でき
るものとして、採血すべき抗体価としては、風疹、麻疹(はしか)、水痘(水
ぼうそう)、ムンプス(おたふくかぜ)があります。これらは、もし抗体がなけ
れば、予防接種が可能なワクチンです。妊娠して、流行期がやってきて、慌てな
いように、抗体価を調べましょう。特に、風疹は、あかちゃんの心奇形や難聴、先
天性白内障の原因となります。但し、これらのウイルスの抗体価検査は自費と
なりますので、どれくらいの項目を調べるかは、相談すべきです。ご自身のワク
チン接種歴(ご自身の母子手帳があれば参考になります)や罹患歴も重要です。
よく調べて、いくつの項目を検査するか相談してください。

妊娠前からの体づくり

 また、妊娠前からの体づくりについても、相談してみましょう。適切な体重管理
で、極端な痩せや肥満を解消し、葉酸の摂取も相談しましょう。

プレコンセプション・ビジットは当院でも行っておりますのでどうぞご相談ください。

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