2016年3月26日土曜日

低用量ピルのお話【第8回】

はじめに

 ブログの閲覧ありがとうございます。院長の川端和女です。本日は、使用量ピルの話題です。


低用量ピルを服用するのはどんな時でしょう?

 まずは、避妊のためですね。妊娠したくないとき、例えば、排卵日を避けてセックスすることで、避妊することはまず無理です。どんなに判で押したように、生理の来る人でも、体調の変化やストレスで排卵がずれてしまう可能性があります。精子がしばらく女性の体内に生存していて、排卵時に受精してしまうこともあり、安全日はないと考えてもらったほうがいいですね。また、膣外射精やコンドームのみでの避妊は失敗する可能性が高いのです。コンドームが抜けたり破れたりして、緊急避妊ピルを取
りに来られる方も婦人科では珍しくありません。それを考えると、正しく服用すれば100%の避妊効果のある低用量ピルはとても安心な避妊法といえます。ピルを服用すると、排卵が抑制され、また、万一受精しても、受精卵が子宮の中につかないようにします。また、精子が子宮の中に入っていくとき、子宮の入り口 子宮頸管といわれるところの粘液が、排卵期には透明できれいになって、精子が入りやすくなります。排卵期にはおりものがふえて透明になることがわかる人もいますよね。ピルはこの頸管粘液の状態を変化させ、精子が子宮の中へ入りにくい状態にします。毎日服用する必要がありますが、ちゃんと服用すれば、安心に避妊できます


使用量ピルの副作用


 でも、ホルモン剤だし、副作用とか怖いと、思っている人も多いのではないでしょうか。飲み始めると、吐き気や胸のはり、頭痛、むくみなどがあるといわれていますが、低用量ピルではこの症状のある人は、かなり限定的です。実際私が処方していても、このような症状があり、ピルをやめなければならない人はまずいません。むしろ使用初めに不正出血がある人がいます。自分の中のもともとのホルモンとピルとの兼ね合いで出血がある場合がありますが、継続して服用することで、おさまってきます。とりあえず1~2か月様子を見ましょう。止まってきます。

 それよりも、問題のある副作用は、主に3つあります。第1に、女性ホルモンで悪くなる疾患を持っている場合、ピルは服用できません。例えば、乳がんの方は服用できませんし、ピルを服用している間は、1年一回は乳がん検診を受けるようにしましょう。
 第2に肝臓に負担がある場合があります。服薬後比較的早期に検査で判明します。2~3周期内服後には一度検査をし、その後はある程度定期的にチェックしましょう。またもともと肝臓の悪い人は服用できないことがあります。
 第3に血栓症の発症があります。これが一番怖い副作用です。血栓ができ、それが、血管内を流れて細い血管に詰まってしまうことがあるのです。突然の足のとくにふくらはぎの痛みや腫れ、手足が動かない 突然の胸の痛み、呼吸困難、激しい頭痛、舌のもつれ、突然の視力障害などがあるときは、直ちに服用を中止し、救急医療機関を受診するようにしなければなりません。ピル内服を伝えましょう。またこの血栓症は、たばこを吸う人で起こりやすいので、ピル内服中は禁煙しましょう。また脱水や安静で、血栓ができやすいので、注意しましょう。
 それから、あまり言われないことなのですが、ピル内服後の無月経があります。低用量のピルになってからはあまりおこらないといわれていますが、もともと月経不順の人が長期内服すると、その後ピルをやめても、なかなか排卵しにくいことがあることを、私は外来で経験することがあります。そのため私のクリニックでは1年1回休薬して、月経が来るかどうか確認することをお勧めしています。少し注意したいピル後の影響ですね。

使用量ピルの避妊以外の効用

 このほか、ピルの服用理由には、避妊以外の効用がありますピルは排卵を抑制するため、月経痛や月経過多を軽減する効果があります子宮内膜症を改善することもできます。このようなピルに関しては、健康保険の適用される薬があります。以前は、健康保険が適用されても、比較的高価なピルが収載されていましたが、最近では、ジェネリックも出ています。持田製薬のフリウエルなどがあります。また、ルナベルウルトラロウドーズはホルモン含有量が従来のものよりさらに低用量で安心できるものです。子宮内膜症や月経困難症、月経過多などの症状で悩まれている方は、産婦人科で相談してみてください
 一方、ピルの効用に月経周期を整えるためにという理由で服用される方がいます。これに関しては保険は適用されません。また、私は、例えば避妊もあわせてという場合は、よいとおもいますが、排卵障害のある場合は、先に述べたように、その後無月経が起こりやすいことを、時々経験しますので、使用はよく考えて、産婦人科で相談して使用することが大切です

最後に

以上ピルについてお話してきました。皆さんのお役にたてれば幸いです。

0 件のコメント:

コメントを投稿